1. ブラームス／ ハンガリー舞曲第5番（編曲松園洋二）
2.サン＝サーンス／ 白鳥（編曲松園洋二）
3.モンティ／ チャールダッシュ（編曲白井淳子）
4.ショパン ／ ノクターン第20 番 嬰ハ短調 遺作（編曲松園洋二）
5.イトウラルデ ／ メモリアス（編曲小杉卓也）
6.松園洋二 ／ ポーランド民謡「みかん畑で」による変奏曲とフーガ
7.讃美歌 ／ アメイジング・グレイス（編曲松園洋二）
8.佐藤勝（フォークソング）／ 若者たち（編曲 松園洋二）
9.ショパン ／ ピアノ三菫奏曲 卜短調 作品8 第1楽章
10.ショパン ／ ピアノ三菫奏曲 卜短調 作品8 第3楽章
11.村井邦彦（フォー クソング）／ 翼をください（編曲小杉卓也）
12.カプースチン ／ ピアノ五重奏曲ハ長調 作品89 第1楽章

・このアルバムのこと　音楽評論家 柴田 龍一

高木知寿子氏は、深い愛情をもって音楽作品の魂やエッセンスを豊かに感じ取り、それを堂々と積極的に表現するピアニストであると同時に、日本人離れした強力なエネルギーの持ち主であり、ヨーロッパの一流演奏家たちと少しも力負けすることなく対等に共演することができる稀有な人物でもある。そうした彼女は、ワルシャワ・フィルハーモニーのトップ・プレーヤーたちと以前から頻繁に共演を行 い、説得力に溢れる熱演を聴か せてきたが、この録音は、彼女と彼らとの第４弾にあたるアルバムである。瀬戸内海に浮かぶ生口島のベル・カントホールでの録音は、小学校などを含めまさに島をあげて、特に平山郁夫美術館のあたたかな協カの下で行われたというが、この演奏に耳を傾けると、確かにその時のアットホームで熱気に溢れた 雰囲気が ひしひしと伝わ ってくるような印象を受ける。ここに収められた全12曲のプログラムは、非常に多彩な選曲が目を惹く内容であるが、そこでは、めったにないほどに練り上げられ、熟成されたアンサンブルが繰り広げられており、その共感に満ちた表現が 聴き手を魅了せずにはおかない。高木氏とワルシャワのトップ・プレーヤーたちは、 各々がそれぞれに強い個性と素晴らしい音楽性の持ち主であるが、深い相互理解に支えられた彼らは、ここで渾然 一体となって1つに溶け合い、強い表出力を放つ妙演をつくりあげているのである。