哀悼の調べ|髙木知寿子 ワルシャワ ピアノトリオ
1. キクタ:Kikta : エレジートリオ Elegy Trio
~ある建築家の思い出~ ~The memory of an architect~
2. チャイコフスキー: Tchaukovsky:
ピアノ三重奏曲 イ短調「偉大な芸術家の思い出に」作品50
Piano Trio in a minor op.50 “a la memoire d’un grand artise”
第1楽章 1st Movement
悲歌的な楽章(モデラート・アッサイ~アレグロ・ジュスト)
Pezzo elegiaco (Moderato assai – Allegro giusto)
第2楽章 2nd Movement
a.主題と変奏(アンダンテ・コン・モト)
a.Tema con variazioni (Andante con moto)
b.変奏終曲とコーダ(アレグロ・リソルート・エ・コン・フォコ)
b.Variazioni finale e coda (Allegro risoluto e con fuoco)
・演奏について / 日下部吉彦
”哀悼”の音楽を2曲。チャイコフスキーの、あの大曲と、もうひとつは、知る人ぞ知る、プライベートな小品だ。そのどちらにも共通しているのは”愛”。チャイコフスキーの、いわば”巨大な”愛にくらべて、最初の小品は、私たちの周辺に、たくさんあるストーリーといえるかも知れない。しかし、私は、このCDを聴いたとき、この”愛”こそが地球上普遍のもので、この”愛”さえあれば、世界は平和に治まると確信する。
ポーランドを代表する2人のマエストロと、日本の可憐な女性ピアニストという組合わせもいい。大ベテランのふたりは、日本の”やまとなでしこ”に、気を遣いながらも、自分たちの音楽の主張は怠らず、一方”やまとなでしこ”高木知寿子もまた、節度を心得た感情表現で、ルービンシュタインの品格を崩さない。
3人の個性は、チャイコフスキーの第2楽章第1部の「変奏」で明らかになる。ヴァイオリンとチェロのメランコリーに対して、ピアノは、むしろ冷静で、華麗にさえ振る舞い、格調の高さを守る。そして葬送のリズムに入ると、2人の共演者から離れて、ひとり、孤独の世界に踏み込む。この、人間関係の微妙さが、たまらなく魅力的。
このCD録音は、08年7月9日、滋賀県大津市のホテルのロビーで行なわれたコンサートのライヴとのことだが、ライヴ特有のノイズや、部分的にはアンバランスもないとはいえないが、逆に、ライヴならではの緊張感やアットホームの親近感も味わえる。このホテルは、びわ湖のほとりにあり、風光明媚な空気が匂ってくるようだ。
(音楽評論家)
高木知寿子【Pf】Chizuko Takagi
ピオトル・ツェギエルスキー【Vn】Piotr Cegielski
(ワルシャワ・フィル=コンサートマスター)
カジミール・コシュラーチュ【Vc】Kazimierz Koslacz
(ワルシャワ・フィル=コンサートマスター
- 録音日
- 2008年7月9日
- 録音会場1
- 滋賀県 栗東文化会館さきら(キクタ)
- 録音会場2
- 滋賀県 ロイヤルオークホテルスパ&ガーデンズ(チャイコフスキー)
- レコーディングデェレクター
- 平澤 佳男
- ピアノ調律
- 菊池 和明
- カヴァーデザイン
- 吉田 淳一 http://www.jy-design.jp
- 定価
- 1,300円 (MARS-ETT1410)
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- レイディエンス音楽事務所
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